*

相続対策が対策にならなくなった理由

これまでの”定石(対策)”の効果

先日のエントリーでは、相続税対策についての
以下のような“定石”をご紹介しました。

現金を不動産に変える

アパートなどを建てて賃貸する

不動産(相続財産)の評価額を引き下げる

相続税を引き下げる

実は、これまでこの“定石”が
効果的であったのは、

・住宅の供給不足(需要>供給)
・地価が右肩上がりに上がっていた(土地神話)

という時代背景があったからです。
(貸し手が有利だったのですね。)

だからこそ、資産家にとっては、

・相続税をセーブできる
・住宅不足だから借り手の確保に困らない
・売却しても高く売れる

という“一粒で三度おいしい”
思いができた訳ですね。

マクロの視点からの考察

では、現在はどうでしょう。
全く逆の状況が起きていますよね。

すなわち、

・住宅は供給超過(需要<供給) 
・地価は右肩下がり(土地神話崩壊)

141004_住宅ストック数と世帯数

となっています。

今、賃貸物件(アパート)の
オーナーの最大の関心事は、
“空室対策”でしょう。

今後の人口減少という要素を考えても、
空き家は加速度的に増えていきます。

相続税対策の末路

せっかく建てたアパートなどの賃貸物件に
誰も借り手がいなくなり、
空き家になってしまった場合、
どんなことが起きるでしょうか。

そう。入居者がいないから、
賃貸収入が入ってこなくなります。

古くなった物件をリフォームして、
入居者に魅力的な物件にしますか。

入居者がつく可能性は高まりますが、
リフォーム費用を追加で負担しなければなりません。

ここでジレンマを抱えることになるのです。
じゃあ、売却しますか?

新たなオーナーを見つけるのは、
かなり難しいです。

結局、目の肥えた不動産バイヤーに
安く買い叩かれてしまうこともあります。

えっ!?

「仕方がない。空き家のままでも、
最低限相続税対策にはなるからいいか」

ですってぇ??

とんでもありません。

空き家の状態が続けば、
相続対策に“すら”ならなくなります。

先日申し上げた、
貸家建付地の評価方法を思い出してくださいませ。

貸家建付地の評価額
=自用地評価×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
でしたね。

先日の試算では、賃貸割合を100%と
“仮定して”計算していました。
141021_土地評価(貸家建付地)

100%だから、路線価122,400千円の、
貸家建付地としての評価は、

122,400千円×(1-60%×30%×100%)
=100,368千円
となったのです。

これが空き家(=賃貸割合0%)だったら、

122,400千円×(1-60%×30%×0%)
=122,400千円×(1-0)
=122,400千円

となり、せっかくお金を掛けてアパートを建て、
節税対策したはずなのに、相続税評価額は変わらず、
建築代金だけがなくなってしまった
ということになりますよね。

そればかりか、
固定資産税もかかるようになりますし、
場合によってはローンが残りまし、
維持費もかかります

これじゃあ、何のための相続対策だったのか
分からなくなってきますね。汗

もちろん筆者は、不動産賃貸業自体を
否定しているわけではありません。

全体としては供給過多であっても、
個別でみれば入居者が直ぐに
決まる(資産価値のある)物件はあるものです。

そういった物件は、
・立地
・物件管理
が優れているという
共通点があるようです。

くれぐれも、
“相続対策になります”
“銀行預金よりも利回りがいいですよ”
といった、ハウスメーカーや不動産会社の
セールストークには、引っかからないように
していただきたいものです。

もう、常識(ルール)は変わったのですから。

ではまた。

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